1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

森博嗣「τになるまで待って」2回目

※ネタバレ注意
Gシリーズ第3巻2周目 前巻あたりから犀川先生と萌絵のやりとりが増えてきて面白くなってきた。

  • 読中メモ

    • “珍しく彼も視線を上げて、加部谷を見つめた。こちらの視線の方がずいぶん優しい、”

    • “そんな夢を見たような気がした。いうまでもなく、いつも気がするだけなのだ、すべて”
      今も生きてる気がしてるだけなのかもなぁ、気がするだけマシなのかもしれないけれど。

    • 時々犀川先生がする予測とか予感、常に何かを考えてる人の描写がとても印象的。
    • “起きていても、時々夢を見る犀川である。” この表現とても良い。
    • 犀川先生の時計の描写があった。Gシリーズ初、Xシリーズにはなかった。
  • 読後感
    最近本を一冊読み終わった時に、この本で作者が伝えたかったことはなんだろうかと考える。でも森先生のこのシリーズ(Gだけでなく真賀田四季が関連しているもの全般)は、読んで見ても主張や言いたいことが本一冊分からは特に伝わってこない。これが東野圭吾先生の本なんかだとその意思が明確になっているものが多いのに、と感じる。森先生の本はアニメで言う所の"つづく"や"to be continued"のような読後感だ。これからどうなるんだろうとか、登場人物の成長、変化や作中のセリフなどには目を見張るものがところどころにあるけど、全体として得られるものは実は少ないんじゃないかなという気がした。でも読書がそもそもエンタテインメントなんだとしたらそっちの方が正常か。義務教育の国語の時間のわけのわからない授業や、読書感想文のせいで純粋に読書を楽しめなくなってるだけなのかも、と思った。読書など所詮趣味なんだし、こういう作品を数多く読んでいけば自ずと違ったものを味わいたくなるだろうし、そういう趣味・嗜好の変化が人の成長なのではなかろうか。

τになるまで待って (講談社ノベルス)

τになるまで待って (講談社ノベルス)