1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

中田永一「ダンデライオン」を読んだ

帯びにも書いてあるとおり,主人公が時間を超える系統のお話だった.ミステリィっぽくハラハラする感じで読み進めていくことができるが,これといった新規性はあまり感じられなかった.読後感はやや微妙なたまに見かけるテイストの内容だったと思う.

茂木健一郎「ペンチメント」を読んだ

なんというかとても不思議な小説だった.twitterでペンチメントのハッシュタグで流れてくるツイートがとても心に響くものだったから,そのような内容の小説家と思いきや伝えたいことはまったく別物だった気がする. 本の構成は2つの短編になっていて最初の小説はわりと理解しやすい日常を描いたものだったが,後半の小説は観念的な世界観で注意深く読まないと途中で見失ってしまう感じだった. いずれにせよtwitterを見ていなかったら全く違う印象を受けていただろうなと思った.

東野圭吾「沈黙のパレード」を読んだ

 ガリレオシリーズの新刊.現代の法制度の盲点や子どもに夢を託す大人,託された側の子どもの視点や友情など取り上げられるテーマが盛り沢山だった.ミステリィの分野に相応しく最後はどんでん返しがきちんと用意されており面白さは相変わらずだった.  湯川先生が容疑者xについて漏らしているところが最も印象的だった.アメリカ帰りの設定でやや描画が人間らしくなっているのも面白みがあった.  今回は被害者側に大勢の登場人物がいたせいもあってか加害者側の描写が少なかった.もう少し加害者の性格が捻じ曲がっていく過程が描かれていると話に厚みが出るかもなぁと漠然と思った.

森博嗣「人間のように泣いたのか?」を読んだ

 Wシリーズ最終巻.天才とは,人工知能とは,未来はどうなるのか,人間とは,,という具合に読み取れるテーマが複数あって読むたびに味わいが変わっていくことを予感させてくれたシリーズだった.これまでのシリーズと同様に最終巻らしくなくまた続いていきそうな予感がする終わり方でもっと読みたいと思わせてくれる一冊だった.  なにはともあれシリーズが終わってしまったらしいので全巻もう一度読み直そうとは思うが,それよりもこの四季シリーズで新しいのが始まってほしいなぁ...

福岡伸一「新版 動的平衡2」を読んだ

新書になり章が一つ追加されていたので購入. 単行本を読んでいたはずだが,内容を結構忘れていたので面白かった.生命とは何かの生物学的な説明もさることながらところどころに挟まれてくるフェルメールの話もとてもおもしろい.最後追加されていた章は西田哲学に関するものだったが正直難解だった.これは別に福岡先生の本が出ているのでそっちを読む方が吉.

森博嗣「ジャイロモノレール」を読んだ

 いわゆる「ジャイロ効果」あたりから丁寧に説明してあって原理が想像できるようになった.90度ズレた方向に力が働くというのはなるほど一般的な感覚ではなくて違和感はあるけどなるほどと納得できるぐらい丁寧に説明されていた.  筆者が作成したジャイロモノレールが動く様子がYouTubeで公開されているけど,これを見ると余計に独楽が中で回っているから安定していると思いたくなってしまう感じだった.あとだいぶ音が大きい.

https://www.youtube.com/watch?v=5IulHapq1wk

小堀鷗一郎「死を生きた人びと」を読んだ

 なんとなくタイトルに惹かれて購入した本.
 医師である著者が在宅で死を迎える人について自身の経験や調査内容をまとめた本.具体的な内容としては,病気などで死が目の前に迫っているにも関わらずどこか他人事のように捉えてしまっている人たちの描写に魅せられるものがあった.
 寿命を宣告されてもまだだろうとかすぐにその日が来るわけじゃないだろうと無意識に思ってしまい,突然来るその日に慌てふためく様子が想像できた.とりわけ意外だったのは再入院や在宅など,環境が変わってまもない頃に容体が急変し亡くなってしまう例がいつくか見られたことであり,これは他人事ではないなという気になった.