なんというかとても不思議な小説だった.twitterでペンチメントのハッシュタグで流れてくるツイートがとても心に響くものだったから,そのような内容の小説家と思いきや伝えたいことはまったく別物だった気がする. 本の構成は2つの短編になっていて最初の小説はわりと理解しやすい日常を描いたものだったが,後半の小説は観念的な世界観で注意深く読まないと途中で見失ってしまう感じだった. いずれにせよtwitterを見ていなかったら全く違う印象を受けていただろうなと思った.
森博嗣「人間のように泣いたのか?」を読んだ
Wシリーズ最終巻.天才とは,人工知能とは,未来はどうなるのか,人間とは,,という具合に読み取れるテーマが複数あって読むたびに味わいが変わっていくことを予感させてくれたシリーズだった.これまでのシリーズと同様に最終巻らしくなくまた続いていきそうな予感がする終わり方でもっと読みたいと思わせてくれる一冊だった. なにはともあれシリーズが終わってしまったらしいので全巻もう一度読み直そうとは思うが,それよりもこの四季シリーズで新しいのが始まってほしいなぁ...
福岡伸一「新版 動的平衡2」を読んだ
新書になり章が一つ追加されていたので購入. 単行本を読んでいたはずだが,内容を結構忘れていたので面白かった.生命とは何かの生物学的な説明もさることながらところどころに挟まれてくるフェルメールの話もとてもおもしろい.最後追加されていた章は西田哲学に関するものだったが正直難解だった.これは別に福岡先生の本が出ているのでそっちを読む方が吉.
森博嗣「ジャイロモノレール」を読んだ
いわゆる「ジャイロ効果」あたりから丁寧に説明してあって原理が想像できるようになった.90度ズレた方向に力が働くというのはなるほど一般的な感覚ではなくて違和感はあるけどなるほどと納得できるぐらい丁寧に説明されていた. 筆者が作成したジャイロモノレールが動く様子がYouTubeで公開されているけど,これを見ると余計に独楽が中で回っているから安定していると思いたくなってしまう感じだった.あとだいぶ音が大きい.
小堀鷗一郎「死を生きた人びと」を読んだ
なんとなくタイトルに惹かれて購入した本.
医師である著者が在宅で死を迎える人について自身の経験や調査内容をまとめた本.具体的な内容としては,病気などで死が目の前に迫っているにも関わらずどこか他人事のように捉えてしまっている人たちの描写に魅せられるものがあった.
寿命を宣告されてもまだだろうとかすぐにその日が来るわけじゃないだろうと無意識に思ってしまい,突然来るその日に慌てふためく様子が想像できた.とりわけ意外だったのは再入院や在宅など,環境が変わってまもない頃に容体が急変し亡くなってしまう例がいつくか見られたことであり,これは他人事ではないなという気になった.
石田衣良「七つの試練」を読んだ
ちょっっとだけ淡泊になったかな,そんな印象だった.前の巻まではストーリィにもうひと捻りあった気がする.うまく行くような感じを匂わせてからのピンチ,逆転,みたいな.4つのお話のうち,ハラハラしながら読んだのは本のタイトルにもなっている七つの試練という話.それ以外は解決困難,とか面倒とかってキーワードが並ぶ割にすんなり解決してしまった. 時事ネタが入ってくるのは相変わらずおもしろいし,ネットからはほんの少し距離をおいた視点で話が進んでいくところも気に入っているけど流石にちょっとネタ切れなのかな...