1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

三砂ちづる「死にゆく人のかたわらで」

※ネタバレ注意
神保町の三省堂で偶然目についた本。ちょっと立ち読みしたら目次に感じるものがあったので購入してみた。

  • 読中メモ

    • “人の記憶は三世代で失われる。"なんと今の時代、祖母、母と母乳で育てられなかった世代の女性は母乳が出にくくなっているとな。にわかには信じられない…家で最期を向かえる人が少なくなってるってのはそんな感じするなぁ。祖父も祖母も病院で亡くなちゃったし…でもだからといって今一度自宅でなくなる文化を復活させる必要があるかどうかは疑問。それと引き換えにまだ自分たちが文化とすら認識していないものが今芽生えているんだろうし、人間の生活ってずっと変遷していくものだと思う方が自然なんじゃないかな。
    • さっき読んでた本多孝好の「dele」が急に思い出された。"悲しい"と感じていることが端から見てわかるような状況の人でも決して"かわいそう"ではないんだよね。この本読み進めてたら突然思い出した。
    • ⭐︎第4章を読むことができませんでした。この章では亡くなった旦那さんの元々の病気についての詳細な記述がありましたが、なぜか昔から人が外科手術をした話を聞くと血の気が引いて貧血状態になって倒れてしまうのです。今回も途中まで読んでその傾向が出たので飛ばす。昔乙一の「失われる物語」を読んで以来の貧血状態になるところだった…
    • “がん治療は保険の効かない先進医療などを試そうとするからお金がかかる” なるほど、そういうもんか。
    • “いまは将来のためにある時間ではないのに。”
    • “夜中に何度も起き上がって、じっとしていられないこともあった。” これ、昔アトピーがひどかった頃、かゆい皮膚を掻きむしってしまった後の痛みみたいなものかもしれないなぁ、寝ようと思っても掻いた部分がパジャマや布団にあたるたびに痛みが走ったり、痒くなったりしてとても横になっていられなかった。イライラするし、寝られないから焦るし、家族は誰も理解してくれなかったし、今思いだすだけでも地獄のような日々だった。
    • そうだ、うちの父親も祖父が亡くなった時、延命治療はしなかった。。
    • “親として、この時期にこの経験をわたしたちにさせてくれたことの意味は実に大きかった。” 親は人生の先輩、いつまで経っても親から学ぶものは大きいな。
    • “失ってしまったのは「どうでもいいこと」を共有する人。”
    • “でも、死ぬのが今日だ、とは決して思っていなかったと思う。”
  • 読後感
    タイトル通りとても重かったけど、とてもいろんなことを考えさせられる本だった。生まれ、生きて、死んでいく、この連鎖の中で子供の誕生を見て学び、親の死を見て学んでいくのか。親子・世代のつながりを改めてなのか、むしろ初めてぐらい考えさせられたなぁ。