1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

河合隼雄「無意識の構造」

新宿の書店で見かけたので購入。今のAIブームは人間の無意識を理解できない限り発展はないと思ってるところだったので、一度試しにこの手の本を読んでみる。

  • 読中メモ

    • コンプレックスの話、因果推論に置ける共変量に構造が似ている気がする。
    • 自我は新しい経験を取り入れて変革しようとする傾向をもつ一方で、自我の喪失を嫌うように新しい経験を排除する傾向も併せ持っている。これが人間の特徴て、、、矛盾しすぎていてその存在がもはや意味不明だわ。これが事実なんだとしたら、人間が他の動物よりも進化して思考を手に入れた理由がわからん。行き着く先は破滅しかないじゃん。
    • 矛盾した状態を個体内部に保有していること、これは生存本能によるものだろうか。そうだとした場合、人間が進化によって獲得した知識・知恵とは相入れない存在となってるのでは?もし人の知識・知恵・脳の容量がもっと多くなって危険を知能で察知できるようになったら矛盾状態も解消されるんだろうか。だとしたら今の状態は進化の過程で起きている知恵と本能のアンバランスな限定的な状態に過ぎないのだろうか。
    • “個人的無意識"、"普遍的無意識" 覚えておく価値がありそうな概念。
    • 心的エネルギーの進行と退行、もし本当にそんなものがあるならばエネルギーの総量が個人のポテンシャルになるはず。それはどうやって決まっているんだろう。振幅の大小がその人の持つ社会的ポテンシャル、要するに才能だろうか。そしたら振幅の周期が制御不能で比較的短時間な人が躁鬱病という事だろうか。
    • “夢は…自我がイメージとして把握したものである"文字や音で強く認識していたとしたら寝ている間にどのように現れるんだろうか。夢のように映像を伴うものではなくて音だけのような"夢現象"もあるのだろうか。
    • レム睡眠てrapid eye movementだったのか…
    • うずからグレートマザへの展開はいささか飛躍してる感が強い。薄っぺらい本だから端折ってあるのだろうか。
    • “影"か、、人の願望が見せるものだろうか、それとも後悔、または外部からの圧力とかもあるのかな?
    • 突然のトリックスターの話はよくわからんかった。人間の二面性の話から関連がなくもないけど、事例の説明の意図は掴めなかった。
    • アニマ、アニムス?段階?段階を分ける意味はなんだ?男性の中に女性が、女性の中に男性が現れるということは精神がなんらかのバランスを取ろうとしているのか、それとも観察者がバランスを取っているように解釈しているのか。
    • この本に書かれている事が事実がだとしたら、男女や親子の関係がうまく行くのは運という事しかないのだろうか。時間ともに変化していく中でうまくいく相手かどうかなどわからないんだろうに。
    • 無意識と意識の心全体を自己とすると、無意識が開いた状態、すなわち普遍的無意識も自己であるならば、周りにいる人も含めて自己ということになる。確かに自分を測る時には他人を基準、比較対象としなければわからない。すごく腑に落ちる説明。自我は意識できる部分だけ、か、面白い。
    • 西洋でも東洋でもいいけど、自己や自我が点で表されているところが腑に落ちない。それだと自己や自我を分ける意味がなくなるのではないか。特に東洋の場合の自己の中に点が存在するのはイマイチピンとこない。
  • 読後感
    非常に勉強になるし、フロイトユングについては全く知見がなかったので初めて読む本としては深すぎずよかったと思う。ただところどころ単一事象を全体として描写しているような部分があり、新書という形式で枚数を割けないなどの制約があったのかもしれないが、やや説得力にかける面も見られた。全体としてはとても面白く、自己と自我の話や心がバランスを取ろうとしているかのような動きが観察される話については強く印象に残った。

無意識の構造 (中公新書)

無意識の構造 (中公新書)