一万円選書の一冊.すばらしい本だった.自然とは何か,命とは,生きるとは何なのかが克明に描写されている良書だと思う.プロのハンターとして山に篭り,五感を研ぎすませることによって山と,自然と一体になりながら羆や鹿といった獲物を追っていく姿が見事に描き出されており,羆を斃したその場で食す心臓の旨いという描写などは消して小説では描ききれないであろうものだった. これは普通に教科書などに載せて生命とは,自然とは何なのかを教えるのに素晴らしい経験談になるだろうと思われる.おそらく一万円選書の中でも,そしてここ数年で読んだ数百冊の中でも秀逸な一冊だった.