1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

角幡唯介「極夜行」を読んだ

太陽の登らない極夜のグリーンランドを立った独りで旅した冒険家のノンフィクション.先に読んだ「羆撃ち」に感化されて読んでみた.  というのも本を読み出してからずっと読んでいた本が人生の失敗談や死に瀕した話などどうも気が滅入る作品ばかりだったということに気づいたわけで,そういったものじゃなくて人生の赤裸々な体験談や経験談から生きる活力になるような話を身に蓄えようと思ったのがきっかけ.  一言で感想を述べると「羆撃ち」が如何に素晴らしい本だったかを再認識しただけだった.本の内容的には目的地点には到達できなかったものの,波乱万丈の中で極夜の真髄まで体験し命からがら生還するというすばらしいものだった.だが,如何せん文章に飾りが多すぎる.率直に書いたりもう少しありのまま表現すればいいところを回りくどくいろんな表現で書き現したり,婉曲な表現つかって例えてみたりで冒険内容の割に全く心に響いてこなかった.おそらく先にこちらの本を読んで後から「羆撃ち」を読んでいれば感想もまた違ったものになっていたかもしれないが,さすがに「羆撃ち」が本物過ぎた.文章がきれいに書かれていることは誰の目にも明白すぎるほど明白なのだが肝心な内容は伝わってこなかった.  というわけで改めて「羆撃ち」のすごさと人の心を打つ文章っていうのは飾った文章じゃないんだなってのを痛感しただけだった.

前も上げたけどこっち読むべき.こっちは圧倒的.普通の小説が読めなくなる程度に本物.