1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

小坂井敏晶「答えのない世界を生きる」を読んだ

神楽坂にあるかもめブックスで目について買った本.前半はそもそも答えの出せない問題に答えがあると思っていることの問題や,フランスの大学事情など,日本にいると日本だけがおかしいと思えてくるが他の国でも同じような問題を抱えていることがわかったりしてとても有用だった. 後半は少し雰囲気が変わってきて,著者の抱いていた劣等感やコンプレックスなどに悩んだ話しが多くなりややメンヘラな感じが漂っていた. まぁもうこの著者の本は読まなくてもいいかな...

レイチェル・カールソン「沈黙の春」を読んだ

 1950年代アメリカで害虫駆除のために化学薬品が大量に散布されていた時代のおはなし.タイトルは薬品の散布により目的の害虫だけでなく自然のバランスを崩してしまったことにより,鳥や虫,動物が姿を消してしまい春が訪れても冬のように静かになってしまうことからつけられている.  そういえば昔は農薬の散布などで日本でもよくこういった話しを聞いた.特に昔のドラえもん映画「アニマルプラネット」なんかでは自然破壊がテーマになっていたのを覚えている.あのころが環境問題はピークだったんじゃないかなぁ.そう考えると今はあまり新聞やニュースでも取り上げられないけどどうなってるのかしら.  一つおもしろい話しだったのはヒアリについて.日本では少し前に海外からヒアリが入ってきたとマスコミで騒ぎになっていたが,この本を読む限りだと人間に害はなく,ただ薬品会社が殺虫剤を買わせるための宣伝だったらしい.日本のマスゴミが流してるのも案外そのころのネタを引っ張り出してきてるだけなのかも.  それにしても害虫だからといって駆除してしまうと自然の生態系を崩すと散々中小しておきながら,最後は薬品以外の駆除方法を賞賛しまくっていた.確かに大規模な薬品散布に比べると影響は少ないのかもしれんが,ちょっとどうなのかと思う内容だった.

レイチェル・カールソン「センス・オブ・ワンダー」を読んだ

 福岡伸一先生の著書でも度々紹介されていた本を読んでみました.わずか60ページほどで56歳でガンでなくなった著者の最後の作品ということですが内容は重厚です.主に甥であるロジャー氏が幼少の頃に自然のどんなものに目を向け気づいたかを記した書なので重みがある内容ではないですが,地球という星で生きている生命という生命の灯火について考えさせるには十分です.そして私自身が推してやまない「羆撃ち」に通じるものが合った.これは良い本だ.

福岡伸一「ナチュラリスト 生命を愛でる人」を読んだ

 福岡先生の他の著書でも何度か紹介されているドリトル先生の故郷から出発し,ナチュラリスト,日本語では博物学者とはどういう人なのかを様々な実在の人物を紹介しながら考察した本.  私自身は機械や電子回路といった方向に幼少の頃から強い興味を抱いているので昆虫などの生物について夢中になることはほとんどなかったが,昆虫に興味を抱くということは突き詰めていくと生命とは何かという問にぶつかり真に奥が深い分野だと思った.対象的に機械や回路などを相手にすると行き着く先が人間の創造物にしかならないのでそのあたりで深みが違うなあという気がした(これがロボットとなるとまた生命とはみたいな問にぶつかるので話が別).  いずれにせよ例の「羆撃ち」を読んで以来,フィクションものの小説は全く面白くなくなってしまったし,やれ殺人事件の真相だのどこかの組織の闇だのといった暗いノンフィクションものにも興味を抱けなくなった.というか単純に読んでも面白くない.これからはノンフィクションの明るい感じの書物を探していくことにした.

立川談四楼「ファイティング寿限無」を読んだ

 一万円選書の一冊.落語家でありながらボクサーとして世界チャンピオンになるというフィクション物. 普通の小説だった.小説の中で主人公が落語家なのかボクサーなのか迷っていたように,落語家としての描写もボクシングの描写もどっちつかずで試合が始まったと思ったら夢オチのように勝っているパターンが最後まで続いてあんまりおもしろくなかった.  題材としては師匠の死を予感しながら世界チャンピオンに上り詰めて,最後師匠の死に際に会えなくて...みたいなストーリーだったが20歳前後の若者らしい苦悩がさらりと書かれているだけで濃厚な感じもないし時間つぶしにはなるかなという程度.

リテールAI研究会「リアル店舗の逆襲」を読んだ

最近ニュースで見かけるトライアルカンパニーやサツドラなどの店舗での取り組みが紹介されており,同社が何を考えどういう店舗を作っていく思想をもっているのかがわかりとてもおもしろかった. ただ注意して読まないといけないのはAIという言葉が定義曖昧なまま乱発されている点で,本の構成としては数人の筆者による個々の論文の掲載になっているのだが人によって意味しているものが全く違う.章立てが店舗・メーカー・卸の3つに別れているが,読めるのは先に書いたトライアルなど店舗編と最後の卸で,メーカー編はひどい.AI分析なるなぞのキーワードが出てきてなにを分析するのかと思えば最適化推論を分析と読んでいるらしかった.バカなの?さらにこの章では今ではすっかり定着した感のある協調フィルタリングをAIというワードに置き換えただでのお粗末なものでありこんなもの読むぐらいだったらくだらないお笑い番組でも見ていた方がマシというレベルだった.