※ネタバレ注意 Wシリーズ2周目 それなりに内容覚えてるけどせっかくだからこれ読んでから最新刊に取り掛かる。
- 読中メモ
- だんだんデボラが攻殻機動隊のタチコマとかロジコマに見えてきた。見えてないか、読めてきた?感じられてきた?思えてきた?
- デボラとフーリが作っている卵とはまた概念が違うものなのだろうか。目的が少し違うだけで仕組みは同じ気がする。
- “研究なんてだいたいそんなものです。自分では信じて突き進んでいるけど、あっさり消えてしまうことがある。" そうか、最近仕事がうまく行ってない気がしているのは進んでないからかもしれないなと思ったとか、思わなかったとか。
- 自転車乗りなのに恰幅の良い中年男性、しかも金髪か、誰だろう。
- 感情の存在から生きている理由を考える、とても面白い思考アプローチだと思った。
“心にもないことを言葉にできるようになって、僕も数十年になるのだ。" 助教授になって会議に出てるときの犀川先生みたいだな。「有限と微小のパン」だったか萌絵が牧野を評して、"当たり前のことを言葉にできる人は優しい"みたいなこと言ったのがいつも対比で思い出される。もう一つ連想されるのはGシリーズで加部谷が萌絵だか海月だかに評されて"関連ない話題でも次々出せるのは才能だ"みたいなのがある。どれも曖昧な連想だから正確じゃない気がするけど。 "僕たちは、もともと、そういう無駄なゴミに満ちた世界に生まれたのだ"人工知能研究をしている先生が言っていたけど、ゲームな仮想環境で人工知能や実際のシミュレーションは環境が綺麗すぎて意味がないんだとか。結局、現実に役に立つものを作るためには、多すぎるノイズをいかに除去できるかの方が重要らしい。これはデータ分析を正確に行おうと思ったら、実際に分析・解析している時間よりもデータを前処理するのに時間がかかるし、有益な知見は分析方法よりも適切な前処理の技術の方にあるという現実に非常にリンクしている。
読後感
感想を一言だけ述べるなら"面白かった"。前にも書いたかもしれないけど、森先生の作品で面白いと思うのは、人の思考(本シリーズではハギリ博士の思考)が描写されているところだと思う。それは一連の仮説から推論そして結論に至る道筋ではなく、途中で思考が発散してしまい解にたどり着かない思考や、ただぼんやりと人間とな何か、みたいな抽象的で答えがないものに対する思考の描写で時に感情が入ったりしているところが特に面白い。自分が大学生だった頃には特に自分がそれまでにぼんやり考えていたことが明文化されていて、つまり似たようなことを考えている人がいることがわかって、非常に興味を持ったが、最近ではまた違った角度で面白みを感じているように思う。これは今のところ言葉にできない感情に近いものだけど。
私たちは生きているのか? Are We Under the Biofeedback? (講談社タイガ)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/02/21
- メディア: 文庫
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