1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

湊かなえ「Nのために」を読んだ

 複数人の視点からある事件について語られる形式の本だった.視点の入れ替わりや時系列の前後などが頻繁にあり,読みやすいとは言い難い本.また登場人物の性別についても前半には明確な記述がないまま進んでいくので後半にイメージひっくり返されることまであった.
 内容的には面白かったものの,もう一捻りぐらいあるとなお面白かったかなと思った.特に主人公の一人,杉山の母親と野口の妻の共通点から事件の深層に一波乱何かあるだろうなと思っていたが,結局何も語られなかった.もしかしたら著者の思惑なのかもしれないが,どちらにしても結論まで登場人物各々の視点で何通りか描かれており,読んでいる側からすれば総合的,客観的に判断するしかないのでその辺の深読みをしようと思ったら,何回か読んでみるしかないと思われる.
 ここまで湊かなえは数冊読んでみたが,一旦打ち止めでいいかな.似たような内容ばかりになってきた.