1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

養老孟司「半分生きて,半分死んでいる」を読んだ

 養老孟司ってこんな人だったかな,という印象を持った本だった(悪い意味で).体格の良い人間が必死になって100mを走っている意味がわからないだの,そう言われたら傷つくだろうから言わないだの,いかにもな年寄りになってしまっている.そんなことをして何の意味があるんだとでも言いたんだろうが,そもそも意味のないことができることこそが人間らしさだろう.というか生きていることこそ意味のないことだ.そして養老孟司に言われて誰かが傷つくと思っている時点で酷く傲慢だ.年寄りの妄言などどうでも良いよ.
 読み進めていったら途中から面白くなってきた.特に現代,情報化社会では0か1,白黒で物事を判断するようになったという話が印象に残った.今までは0,1だったかもしれないがコンピュータ的には確率値で表現する場面も増えてきているので過渡期にすぎなかった気がしないでもないが,人間の考え方の方は2値分類になってしまっている気がする.SNSの炎上なんかもこの類だろう,何かを言えばレッテルを貼って決めつけて袋叩きにする.脳が退化しているのかもしれない.もしくはどちらつかずの状況を許容できる余裕がないのだろうか.いずれにせよこれは考えさせられるところがあったなぁ.