1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

福岡伸一「生命と記憶のパラドクス」

  • 選書の理由
    福岡先生の苦労した実験話,研究中に思いつく仮説や生命というものに対する考え方をしると自然と自分もやる気が出るため久しぶりに読みたくなって,まだ読んでいない一冊を購入.
  • 書評
     これまで読んできた「動的平衡」などのように理系の固い話かと思ったら,エッセイ集のような本だった.これはこれで面白かったけどもう少し生命とは何かについて,福岡先生の研究内容や洞察が描かれているとよかったなと思った.
  • メモ
    やはり福岡先生の文章はそこらへんの小説家よりも小説家らしくて文学的だと思う. 科学的な本ではなくてエッセイ集のようだが,これはこれでとても面白い.まるで自分がそこに居るかのような感覚におちいった.特に閉店した店の話では自分が近くのマスが釣れる釣り堀で細い竹に糸と針がついただけの釣り竿で魚を釣っていたことを思い出した.あの頃の水の流れ,餌を針につける時の柔らかい感覚,独特の匂いまで思い出されてとてもアンニュイな気持ちになった.