1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」

  • 選書の理由
     ニュースキュレーションアプリに出てきたのと以前書店でよく見かけていたので思い切って購入。新宿のbook1stを探したがなかったので神保町の三省堂で見つけた。

  • 書評
     タイトル通り数人の先生方が苦労話をしてくれる本だったが、何者でもない頃の話はあまり出てこなかった。形式としてそれぞれの先生の後援会の内容が前半に、後半は著者との対話で内容が展開していった。  全体的にははっきり言うと物足りない。新書に無理やり4人ぶんの話を盛り込んでいるから当然かもしれないが、普段小説などで本を読んでいる人間にはちょっと薄っぺらく物足りなさを感じるだろう。ただ一人一人の先生方はとても著名で面白い話を色々持っていそうな方々だったので、本書を導入と捉えて、別途一人ずつ一冊の本を出して欲しいぐらいだった。

  • -メモ
     はじめにの部分にも書いてあるが講演会の内容を本にしたものなので、若干味気ない。福岡伸一先生の著書を読んだ時のような情熱までは中々伝わってこない。お手軽感のある新書だから仕方のないことなのかもしれないけれど、こういう本を読むとやっぱり重厚で内容のある本を読みたくなる。精神がバランスをとっているらしい。
     「でも基本的にはサイエンスの喜びっていうのは、誰かとディスカッションして、こんな可能性もある、あんな可能性もある、といろいろな可能性を見つけていくことに大きな意味があるのではないかと思うんです。」これ、ディスカッションしながら可能性を見つけていく作業はほんと面白い。特に自分がディスカッション内容の大半をちゃんと把握している時には。ここで面白そうな仮説が見つかったりするともう目も当てられないくらい研究に没頭したくなる。
     2人目の羽生さんと3人目の人が同じことを言っている気がする。レールの上に敷かれたものだけを見ていても面白くない。思いがけないこと予期していないことをする方が結果として面白くなる。これはあれか、1人目の山中先生の対談の部分でも同じような展開があったな。