1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

森博嗣「青白く輝く月を見たか?」

※ネタバレ注意
Wシリーズ最新刊 この巻を読むために前作までの5巻を一気通貫で全部読んだ。いざ尋常に勝負。

  • 読中メモ

    • “天井"と"天丼"をいつも見間違う。前後のコンテキストから先入観を受けていないとポジティブに捉えておく。
    • ナクチュのリーダであるカンマパの先祖、絞殺された若い男性、、、百年シリーズで殺された王子かな。。あれはアンドロイドだったっけ?ウォーカロンだったっけ??
    • 一度の実績で次も同じことを期待される事に対する悲観的な考え方、人工知能は確率論で考えるのである意味ドライだが、人間はどうしてもネガティブにならざるを得ない、それは期待に答えられないことへの不安感だろうか、それとも信頼を失うことへの危機回避だろうか。いずれにせよストレスになることは変わりがない。
    • 人間xウォーカロンx人工知能xトランスファ プレイヤが段々増えてきた。今のところ人工知能とトランスファは上下関係で括れるかな。
    • 登場人物欄にフーリが2人出てきたのはそういうわけか。なんかこれまでとは違う面白みが出てきた。
    • ずっと学び続ける人工知能か、、、処理速度は早いしメモリが劣化しないところが人間よりも優れているところですね。自律学習する人工知能が登場した暁には時間に対する価値が人間とは大きく異なるということか。人類が時間をかけてゆっくり、世代を超えて学習してきたものを人工知能は何倍ものスピードで学び終える。でもその先がないな。。
    • そういえばあのアフリカの地下施設にあった水槽はなんだったんだっけ?北極基地の描写で思い出した。
    • 「そうかぁ」小さい"ぁ"が、ウグイのセリフだと思うとそこはかとなく可愛いと感じる。シリーズ最高のデレだな。
    • オーロラ、北極のはるか深海に沈んだ人工知能原子力潜水艦を母体として内部にロボットを取り込んでいる。。。人間の構造そのものだね。ロボットがいなければ部品の修理ができずにもっと早くに壊れていたかもしれない。これは細胞を純粋にしてしまった人間が生殖機能を失ったことの暗喩か。
    • ハギリ博士の興奮の仕方、、普段と様子が変わる感じは犀川先生と同じだ。ただ犀川先生は暴れている一番暴力的な人格を完全に表面に出さない術を身につけていたのに対して、ハギリ博士はちょっとだけ顕在化している。
    • 「では、単なる偶然ですか?」「偶然です。」
    • 「わからないからです」-> 神様わかりませんでした
  • 読後感
    一気に読んでしまった。まぁその予感はあったけど。なんかこの巻である程度全体像が見えてきたような気がするけど、まだ続きがあるのか。マガタ博士の限界まで描写されてるけど、あれは本物じゃなくてサブセットってことなのかな。全体的には根拠の部分を除いた論文を読んでいるような感覚になった。ソフト的な人工物である人工知能とハード的な人工物であるウォーカロンと自然の産物、人間のもっともらしい未来像が見えているような感じだった。あと少し気になったのは四季シリーズの冬は時系列的にどのあたりなんだろうか。読み返そうかな。そしてスカイ・クロラシリーズは世界線の向こう側なのかな。