1000冊の記憶

1000冊以上本を読むともう内容が曖昧になってくるのでちゃんと感想を残します http://booklog.jp/users/f_t812

森博嗣「ジャイロモノレール」を読んだ

いわゆる「ジャイロ効果」あたりから丁寧に説明してあって原理が想像できるようになった.90度ズレた方向に力が働くというのはなるほど一般的な感覚ではなくて違和感はあるけどなるほどと納得できるぐらい丁寧に説明されていた. 筆者が作成したジャイロモノ…

小堀鷗一郎「死を生きた人びと」を読んだ

なんとなくタイトルに惹かれて購入した本. 医師である著者が在宅で死を迎える人について自身の経験や調査内容をまとめた本.具体的な内容としては,病気などで死が目の前に迫っているにも関わらずどこか他人事のように捉えてしまっている人たちの描写に魅せ…

石田衣良「七つの試練」を読んだ

ちょっっとだけ淡泊になったかな,そんな印象だった.前の巻まではストーリィにもうひと捻りあった気がする.うまく行くような感じを匂わせてからのピンチ,逆転,みたいな.4つのお話のうち,ハラハラしながら読んだのは本のタイトルにもなっている七つの…

幡野広志「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」を読んだ.

死が現実のものとして目の前に現れると人は意識がどう変わるのかが克明に標された本.これまでこういった本は何冊か読んできたが著者と年齢が近いだけに余計に親近感が湧いた. 著者が息子さんに伝えたいと思っていることも大部分の意見には同意できるもので…

村上春樹「アンダーグラウンド」を読みながら彩瀬まる「やがて海へと届く」を読んだ

後者の「やがて海へと届く」をだらだら読んでいたところ,地下鉄サリン事件の首謀者達に刑が執行され,その過程で村上春樹の「アンダーグラウンド」がサリン事件の当事者達へのインタビューであることを知り,平行で読むに至った. アンダーグラウンドは当日…

湊かなえ「Nのために」を読んだ

複数人の視点からある事件について語られる形式の本だった.視点の入れ替わりや時系列の前後などが頻繁にあり,読みやすいとは言い難い本.また登場人物の性別についても前半には明確な記述がないまま進んでいくので後半にイメージひっくり返されることまで…

湊かなえ「夜行観覧車」を読んだ

被害者・加害者共に身内で関係者となった家族やその周りの家の人間を描いた作品.高級住宅街に昔から住んでおり雰囲気を守っているという歪んだ自覚をもつ人物などは面白かったが,内容的にはちょっと甘いかなという感じだった. 最近出た小保方晴子氏の自伝…

湊かなえ「贖罪」を読んだ

言葉がいかに人の奥深くに影響を与え,その人の人生をも狂わせてしまうかを描いた本.設定はやや破天荒なところがあるものの,小学生が友達の死を目にしてさらにその親から罵倒され脅されるというストーリィは現実だったら精神的な影響はこんなものではすま…

湊かなえ「少女」を読んだ

湊かなえ2冊目.これまた複数の視点で進行していくスタイルで,二人の少女のすれ違いを描いた物語でした.前作の「告白」ほど生臭い感じはしなかったにせよ,認知症やそれを取り巻く家族,痴漢の冤罪被害など少し前に話題になった社会問題を構成要素として取…

湊かなえ「告白」を読んだ

最近色々なところで名前を聞いたので読んでみました.最初は人間の内面を描いた独白かと思いましたが,章が進むに連れで全く違う様相を呈しました. 話は校内で娘を亡くしたある女性教師の挨拶から始まりますが,章ごとに目線がどんどん移っていって最終的に…

森博嗣「天空の矢はどこへ?」を読んだ

Wシリーズ最新刊を早速読みました. 最近の森先生の本は過去の作品の点が線のように繋がっていくパターンが多くて全刊などは最後の最後に吃驚させられましたが,今回はそのパターンは大人しめでした. ただその代わりと言ってはなんですが,「すべてがFにな…

西尾維新「宵物語」を読んだ

八九寺真宵のための物語だった.最近の物語シリーズは怪異譚というよりは推理小説みたいな傾向が強くてこの本も最後の方まではそんな感じかなと思ってたけど,そうじゃなかった.八九寺だからできること,八九寺が神社にいる意味みたいなものが凝縮されてる…

福岡伸一「プリオン説はほんとうか?」を読んだ

狂牛病やスクレイピー,ヤコブ病の原因とされるプリオン説.今の所この説を唱えた学者がノーベル賞を受賞しており,様々な検証結果から真実に近いと思われているものの,本書ではそれに疑いを持った今一度様々な角度から検証をしている. 本書の最後では福岡…

R・ダグラス・フィールズ「もうひとつの脳」を読んだ

DeepLearningが脳のシナプスの動きを模した機構を備えており,その学習力がAIを産む可能性まで示唆されている昨今で,実はニューロンだけが脳の動きではありませんでしたというなんとも刺激的な内容だったので読んでみた. 読んではみたもののニューロンの動…

森博嗣「ψの悲劇」を読んだ

シリーズ新刊を早速読んだ.シリーズの初期と比べると随分と顔ぶれが変わってきたし世界観も修正が必要になってきている. まず犀川先生や西之園萌絵はもういない.真賀田博士ですらすでにプロトタイプなのかは怪しい.かろうじてS&Mシリーズのメンバで出て…

リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」を読んだ

とっても重厚で名著の呼び声高い本.40周年記念版を買ったのでそれだけの期間読み続けられているということになる(すげぇ..). さすがに40年前に書かれた本なのでコンピュータはチェスの名人に及ばないとか古き良き時代感があるものの,遺伝子とは何か体と…

小保方晴子「小保方晴子日記」を読んだ

人を殺した訳でも金を盗んだ訳でもないのに人をここまで追い詰めるマスゴミってなんなんだろうなと思った.バックについてるのはこういう週刊誌とかを読んでる暇人なんだろうけど正直こういうい人種ってよくわからん. 確か養老孟司先生の本だったと思うけど…

東野圭吾「魔力の胎動」を読んだ

「ラプラスの魔女」の前日譚.物語は魔女ではなくある悩みを抱えている青年の目線で始まっており,まだ10代半ばの魔女がところどころに絡んでくるショートストーリィで展開されていく.以前の作品もそうだった気がするけれど,テーマはLGBTとかもっと目線…

福岡伸一「やわらかな生命」を読んだ

装いが素敵な本.とても綺麗で思わず魅入ってしまう表紙だけどこれが何かはあとがきにちゃんと書いてありました. 本書は福岡先生が雑誌で連載していた記事をまとめたものです.生物学に関する話とかフェルメールに関する話とか先生が普段考えていることがつ…

野村克也「野村のイチロー論」を読んだ

野村克也氏によるイチローの批評だった.氏はイチローと直接話したことはないらしいが,それでもこれまでの成績や報道される言動からイチローについて評価を下していた.内容としては野村氏がヤクルトの監督だったころ日本シリーズで如何にイチローを抑えた…

山白朝子「私の頭が正常であったなら」を読んだ

著者山白朝子となっているけど乙一の別名ではないかと言われている人の作品です.乙一の初期の頃の作品を彷彿とさせるようなグロテスクな内容がちらほら見受けられた.心臓の弱い人は外で読むのに注意が必要. 短編集だったが多くの作品では死者との別れを悲…

半藤一利「世界史のなかの昭和史」を読んだ

主に大正時代の終わりから,ドイツ・ソ連・アメリカの動向と日本の歴史が描かれている.ただし各国の歴史を年表のように並べたものではなくある程度時代を集約しながら,当時の状況が調査されている.また大正末期から昭和初期の動静について世界史に目を向…

養老孟司「半分生きて,半分死んでいる」を読んだ

養老孟司ってこんな人だったかな,という印象を持った本だった(悪い意味で).体格の良い人間が必死になって100mを走っている意味がわからないだの,そう言われたら傷つくだろうから言わないだの,いかにもな年寄りになってしまっている.そんなことをして何…

森博嗣「血か,死か,無か?」を読んだ

ちょっとだけ読もうと思ったのに気づいたら読み終わっていた.いつも通り森先生が普段から色々なことを常に考えている,というか思考している方だということを感じさせられる内容だった(その最たる例は「犀川はすぐに答えた.」の一文だと勝手に思っている)…

立花隆「知的ヒントの見つけ方」を読んだ

氏が2013~2017年頃にかけて雑誌に投稿した記事のまとめだった.従って今読むと若干内容の古いものや予測外しているものが見られるものの,非常によく取材された内容で他の記事よりも完成度が高いと思う. 氏が記事中でも書いている通り,日本を科学技術立国…

福岡伸一「せいめいのはなし」を読んだ

福岡先生の本は有名どころは全て読んでしまったから,どこかで聞いたことのある話ばかりだけれど,それでも面白い.本書は複数の人物との対談の形を取られているので,自分が本を読んだ時には考えもしなかったこと,理解できていなかったことがわかりとても…

西部邁「保守の真髄」を読んだ

冒頭の解題から,なんだこの文章はと思えるような強烈な表現・難解な表現のてんこ盛りで著者の並々ならぬ想いというか魂の叫びのようなものが重くのし掛かってくるようだった. 最初の数章を読んでみようかと思っていたが文章にあてられそうだったので,一度…

佐藤優「一触即発の世界」を読んだ

久しぶりに氏の著書を読んだ.これまでの著書と違わず新聞や報道からどのように情報を読み取るかについての知見に面白さがある.もともと外務省でソ連を担当していただけあって毎回ロシア関係の著書が多く,今回の著書も安倍総理とプーチン大統領の山口県で…

司馬遼太郎「最後の伊賀者」を読んだ

タイトルは忍者ものだけど中身は短編集で最後は道頓堀の由来にまで発展していった.司馬先生の忍者モノといえば「梟の城」が好きだったけど,久しぶりに忍者モノ読んでみると忍術っていうのはいかに人を幻惑させるかにかかっているのがわかる. あとは円山応…

司馬遼太郎「王城の護衛者」を読んだ

会津藩藩主松平容保の伝記を中心とした短編集.学校の教科書では描かれていない会津藩主の家柄や幕末京都守護職を受け入れるまでの松平春獄や一橋慶喜との問答・葛藤が面白い.政治謀略や謀を得意とした長州藩や薩摩藩と比して会津藩及び容保はその方面に置…